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経営学部DSEP
(Data Science Education Program、ディーセップ)
 1期生インタビュー

経営学部DSEPに関心を持ったきっかけ

鶴見裕之(横浜国立大学 学長補佐・教授): 経営学部DSEPに関心を持ったきっかけを教えて下さい。

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廣田さん: 私は小さい頃から、数学が好きで、得意でした。その流れで、高校でも理系を選択しました。進路選択でも数学を活かし、大学では自然科学を学び、将来の仕事も自然科学を通じて、社会と関わり合う事をはじめはイメージしていました。
 しかし、考えを進めてゆく中で、最終的に社会との関わりを持つのであれば、もっと直接的に社会と関わりあえる仕事に就きたいと思う様になりました。その中でアクチュアリー*に興味を持ち、直接お話を伺ったりもしたのですが、自分としては、保険に特化するよりも、幅広く社会との接点を持ちうる仕事に就きたい、と次第に考える様になりました。
 最終的に、数学を駆使して、活躍が出来、広く社会に貢献しうる仕事として、データサイエンスを自分の進路として選択しました。そして、企業経営とデータサイエンスの双方を学べる、横浜国立大学の経営学部DSEPを志願するに至りました。
*確率論・統計学などを用いて、将来のリスク等を分析する専門職。保険、年金、資産運用などの分野で活躍しています。

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稲岡さん: 私も高校では理系選択でした。
 私は中学時代から株式投資に興味があり、高校に入り投資の勉強を開始しました。その中で、実際の株式運用に機械学習、人工知能が用いられるなど、理工学の技術が投資と強く結び着いていることを知りました。このとき、理系選択だった自分の視野の中に、社会科学系の学部への進学が選択肢として入ってきました。
 その後、株式投資から企業経営におけるデータサイエンスに関心が広がり、企業経営とデータサイエンスの両方を学べる経営学部DSEPを志望しました。

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鶴見: ありがとうございました。ちなみに、おふたりとも高校時代は理系選択だった、とのことですが他の経営学部DSEPのメンバーはどうでしょうか?

廣田さん: DSEP全員の高校時代の文理選択は分からないのですが、私が知っている範囲のメンバーで言えば、全員理系選択だったようです。


入ってみて分かった、経営学部DSEPの魅力

鶴見: では経営学部DSEPに合格し、実際に入学して以降のことについて伺います。
 経営学部DSEPで、皆さんはどの様な活動に取り組んでいますか?

廣田さん: DSEP生は全員、1年次から2年次の春学期まで「データサイエンス・ゼミナール」に参加します。去年は私たち1期生しかいませんでしたが、今年からは春学期は1・2年生合同ゼミ、秋学期は1年生単独ゼミとして活動します。おふたりの教員がこのゼミを指導されます。
 昨年度の春学期は、投資家を対象とした投資データ分析、秋学期は野村総合研究所「マーケティング分析コンテスト2021」(NRIデータコンペ)と個人研究プロジェクトに取り組みました**。今年度の春学期は、Nishika株式会社「中古マンション価格予測」データサイエンス・コンペティションに参加しています。個人研究以外は全てグループ研究です。
このゼミと並行し、データサイエンス関連、経営学関連の科目も履修しています。
**2021年度のデータサイエンス・ゼミナールの活動はこちらを参照のこと。

鶴見: 入ってみて分かった、経営学部DSEPの魅力はどの様な点でしょうか?

稲岡さん: 経営学部DSEPの魅力は、大きく成長できる環境があることだと思います。
 昨年度を振り返ると1番大きな取り組みはNRIデータコンペに参加した事でした。そのコンペでは、私たちなりに力を尽くました。その過程で、先生のご指導や我々の学びによりデータサイエンスに関する様々な知識や技術を身に付けました。プロジェクト・マネジメントに関する多くの経験知を得ることも出来ました。
 しかし、コンペで受賞は出来ませんでした。この結果には悔しさを感じました。ただ、結果と向き合った時、自分に足りないもの、自分が勉強すべき事、自分の関心はどこにあるのか?などが見えてきました。プロジェクト・マネジメントのあるべき姿も見えてきました。成長を目指す上で、自分の目標を見いだせたのは、得がたい経験でした。
 この春学期は、1年生達とグループ研究に取り組んでいます。反省を通じて学んだ事をグループ研究に活かせたとき、昨年度の自分との違い、つまり自身の成長を実感します。

廣田さん: ゼミを通じて獲得した、データサイエンスの知識・技術と実践経験は実りの大きいものでした。ただ、1年間を振り返ってみると、それ以上にチーム・マネジメントに関する経験の方が、得たものとしては大きかったと思います。
 チームとして課題に取り組むとき、集団の中の個人として、自分の役割をどう果たすべきか?自分はどう振る舞うべきか?が大変勉強になりました。こう言った経験は1人で勉強していても得られないもので、やはりDSEPの魅力だと思います。現在は1年生とグループ研究に取り組んでいますが、昨年度の経験が大いに活かされています。

稲岡さん: 教員2名体制のゼミは、DSEPの大きな魅力だと思います。
 2年次以降の一般のゼミでも指導頂く先生は1名です。また、複数の先生方による指導は、本来は大学院に入らないと受けられないものだと、先生方からは伺っています。この様な教育を学部1~2年生のタイミングで受けられるのはDSEPの魅力です。先生方の知識や技術は、当然の事ですが圧倒的です。その様な先生方が2名で、私たちの取り組みに対して、様々に指導をして下さるのは貴重な経験です。
 また、2名の先生方の専門分野は異なります。昨年度は消費者行動論とファイナンス、今年度はマーケティング・サイエンスとデータサイエンスです。そのため、研究報告に対する質問・コメント時に、先生方が評価されるポイントが異なる時があります。この時、物事を多面的に見る視点を先生方から学ぶことができ、本当に勉強になります。
 そして、毎回の質問・コメントは非常に鋭いものです。自分たちが分かったつもりでも、理解が表面的だったことを露わにされる時があります。ですので、DSEP生達はしっかりと準備することを自ずと求められます。精度の高いデータサイエンスの実践には、本質の理解が欠かせません。日々鍛えられる指導体制があることは将来に繋がると感じます。

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鶴見: それ以外にはどうでしょうか?

廣田さん: 分かりやすく伝える力が、鍛えられます。
 特に1年生とのグループ研究が始まってから、そのことを実感します。昨年度の私たちもそうでしたが、1年生はデータサイエンスという学問への興味、意欲はあっても、知識、技術はまだまだ、という状態で入学します。その1年生もメンバーとして戦力になってもらうために、どの様に作業・分析の内容を伝えたら、理解してもらえるか?試行錯誤を繰り返しています。その中で、伝える力は鍛えられていると実感するときがあります。

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鶴見: データサイエンスの実務において、データサイエンスの知識はほとんど無いものの、重要な意志決定者である方から理解を得なければならない、という場面は多々あります。その様な時に、この力は大いに活かされると思います。

稲岡さん: コミュニケーション量の多さもDSEPの魅力だと思います。何事も質を高めるには、量をこなす必要があると思います。コミュニケーションも同じで、DSEPでのコミュニケーション量の多さにより、力が付いたと実感することがあります。
 自分を例に挙げれば、DSEPに入る前、私は自分からコミュニケーションを取るタイプではありませんでした。しかし、昨年度のプロジェクトを通じ、自分から積極的にコミュニケーションを取ることへのハードルは大きく下がったと感じています。
 そして、4月に1年生が入ってきてコミュニケーション量は更に増えました。まず、自班・他班の1年生から質問される機会が出てきました。回答に困ったときは、2年生同士で伝え方をどう工夫したら良いかを話し合ったりします。それでも難しければ先生にご相談します。“1年生と2年生”、“2年生と2年生”、“先生と2年生”といった様々な立場の方とのコミュニケーションが増え、1年の時とはまた違う力が身に付いたと実感します。

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鶴見: データサイエンスのプロジェクトでは、様々なスキルセットを持ったメンバーが知見を共有しあう方が圧倒的に有利です。この時、欠かせないのはコミュニケーションの力です。将来、データサイエンスを仕事にするにあたり、DSEPで学んだこの力が生きてくると思います。

現役の経営学部DSEP生から高校生、受験生へのメッセージ

鶴見:では、インタビューの最後に、高校生、受験生に向けメッセージをお願いします。

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廣田さん: DSEPでは1年次から“データサイエンスの実際”を体感できます。入学して間もないタイミングからプロジェクトに参加し、データサイエンスの難しさ、楽しさを経験することができます。これらは、データサイエンスに関連する講義をたくさん受講したとしても得ることの出来ない、実践した者にしか分からないものです。
 そして、まず取り組んでみることで、データを動かすことの楽しみを感じられれば、知識・技術も身に付きやすいですし、モチベーションが高い状態を維持し易いと思います。DSEPのカリキュラムは、最初は大変ですが中長期的には学びやすいカリキュラムです、ということを高校生、受験生の皆さんにお伝えしたいです。
 なお、次にお話することは今年1月のインタビュー***でもお話させて頂いたのですが、付け加えたいこともあるので、改めて高校生・受験生の皆さんにお伝えしたいと思います。
 入学以前の私を含め、多くの高校生・受験生の方は、データサイエンスの華やかな面に憧れを抱いてデータサイエンス系の学部やEPを志願すると思います。ただ実際にプロジェクトに取り組んでみて分かったのは、言葉を選ばずに言えば、実際のデータサイエンスの大半は泥臭く、地道なプロセスだということです。
 華やかな瞬間に至るまでには、1人で考え抜き、知識や技術を勉強し、先生やメンバーとコミュニケーションを重ね、良い結果が出るまでデータ抽出・加工、分析、考察を繰り返す・・・泥臭いプロセスが必要です。時間に占める比率で言うと“泥臭さ 対 華やかさ”は“99 対 1”程度だと思います。
 もし、この泥臭い側面を知らずにデータサイエンスの華やかさのみを見て、将来データサイエンスの仕事に就いていたら、確実に壁にぶつかったであろうと思います。華やかな成果の陰にある、地道なプロセスも含めて、本当のデータサイエンスを学部1~2年のうちに体験出来る貴重な場がDSEPだと思います。
 ただ、このことに1つ付け加えたいことがあります。確かにデータサイエンスの大半は泥臭くみえるものですが・・・この地道なプロセスは“面白い!”ということです。このプロセスの楽しさは教科書や講義では学べない、取り組んだ者にしか分からないものだと思います。この楽しさを経験してみたい、この楽しさを見いだせそうだ、と感じた方は是非DSEPに志願して欲しいです。
***経営学部DSEP1期生インタビュー <第3弾> 2022年1月6日インタビュー 秋学期 個人研究編

稲岡さん: 1年生の時を振り返ると、忙しかったですが、やっぱり楽しかったです。そして、今もDSEPは楽しいです。このことを高校生、受験生の皆さんに伝えたいです。
 廣田君の言うように、確かにデータサイエンスに関わるプロセスは、地道な作業が多いです。ただ、少しでも予測精度を高め、良い成果を作り出すには、これらの積み重ねが欠かせません。そうして成果が積み上がってゆく中で、1つ1つの積み重ねのプロセスは楽しくなってきます。つい夢中になってしまい、時間を忘れて長時間、取り組んでしまうときもあります。その様なプロセスの楽しさを知り、時にデータサイエンスに熱中する体験をするにはDSEPは最適な場所だと思います。


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